溶射(メタリコン)

溶射とは?

加工対象物の表面を薄い金属被膜でコーティングする加工を「溶射」もしくは「メタリコン」と呼びます。
弊社では亜鉛やアルミニウム・錫などの金属線を加熱溶解したものを吹き付けて被膜を形成する
「溶線式フレーム溶射」という工法で溶射を行っています。

溶射作業の様子

溶射作業の様子

溶射の効果

溶射を施すことにより以下の効果が得られます。

1.耐食性・防錆性能の向上
溶射には金属被膜によって加工物を錆・腐食から守り耐久性を向上させる効果があり、
海岸地帯で使用する設備や化学薬品を扱うタンクなどに活用されています。
酸性の環境で使う物にはアルミニウム溶射、アルカリ性環境で使う物には亜鉛溶射など、
使用環境に適した防食性を持つ金属を選択し溶射を施すことで、
加工対象物の構成素材が持っていない耐食性能を付加することができます。
2.耐摩耗性・耐熱性・絶縁性の向上
溶射による金属コーティングには、耐食性向上の他にも
耐摩耗性・耐熱性・絶縁性などの性能改善の効果もあります。
※目的とする効果に合わせて適切な溶射材料を選択する必要があります。
3.塗装効果の向上
塗装の下地処理として加工対象物に溶射を施すことで、金属被膜と塗装被膜の2層で腐食を防ぐことができ、
塗装のみを行う場合に比べて加工物の美観や防食性能を長く維持することができます。
4.美観性の向上
溶射を施すことで、加工対象物の表面に均一な金属の質感を持たせることができます。
溶射材料の選び方によって元の材質と全く異なる色合いにすることも可能です。
亜鉛溶射の前後比較

未加工状態(左)と亜鉛溶射後(右)の鉄板

溶射についてよくある質問

1.どの程度の大きさの物まで溶射加工できますか?
下地処理としてのブラスト処理が可能な物であれば施工できますので、
ブラストの制限と同様にトラックで陸上輸送できるサイズの物であれば基本的に対応可能ですが、
5トンを超える重さの物は形状によって対応可否が分かれますのでご相談下さい。
(取り回しの際にクレーンに衝撃荷重がかかる形状の物は5トン以内でも対応不可の場合もございます)
2.出張施工には対応していますか?
出張施工に対応できるだけの人手が確保できない為、出張施工は対応不可とさせて頂いております。
3.どのような形の物でも溶射加工できますか?
上記のサイズ制限に収まる物であれば大抵の形状の物は加工できますが、
クレーンでの吊り上げが難しい物など、稀に加工ができない場合もございます。
特殊な形状の物は事前に図面などでご相談ください。
4.加工対象物の材質に制限はありますか?
弊社が行っているフレーム溶射は加工対象物に対する制約が比較的少ない工法ですが、
加熱溶解した金属を吹き付ける際に加工対象物の温度が100~150℃程度に上昇しますので
この温度域で変性・変形する素材の物には溶射加工はできません。
また、加工対象物と溶射する金属の相性によっては、
金属被膜の接着力が弱く、剥がれやクラックが生じやすくなる場合もあります。
5.どのような種類の金属を溶射できますか?
常時対応可能な溶射材料は亜鉛、アルミニウム、錫(すず)です。
それ以外の溶射材料をご要望の場合はご相談ください。
6.溶射とメッキの違いは何ですか?
メッキは主に金属の表面に電気的・化学的な方法で金属被膜を形成する処理方法で、
薄くて緻密な被膜を形成でき、比較的安価であるというメリットがある反面、
処理層に入らない大きな物は加工できなかったり、
剛性の低い加工物の場合は液体に漬ける際に変形してしまうといったデメリットがあります。
溶射は金属以外の物にも被膜を形成できる、厚く耐久性のある被膜が形成できる、
大きな物でも加工できる、剛性が低い加工物でも変形しにくいといったメリットがありますが、
メッキと比べて被膜表面が粗いため封孔処理という後処理をする必要があり、
比較的高価になるというデメリットがあります。
7.溶射の前には必ずブラスト加工をする必要があるのでしょうか?
溶射加工は塗装と比べて被膜の加工物への接着力が弱い為、
必ずブラスト加工による下地処理を行って接着力を高める必要があります。
8.溶射加工した板を折り曲げても大丈夫でしょうか?
溶射による金属被膜は多少の折り曲げであれば加工物(板)に追従して曲がります。
但し、折り曲げにより加工物自体にクラックが生じたり、大きく曲げた場合などは
被膜にクラックが生じたり剥離する場合もあります。
9.溶射加工で加工物が変形することはありませんか?
フレーム溶射による加工対象物の温度上昇は150℃程度ですので、
大抵の素材に関しては熱による影響は軽微です。
但し、溶射により加工対象物に付加される金属被膜には数十~数百ミクロンの厚みがありますので
高い精度が必要な物についてはこの膜厚の影響を考慮する必要があります。
10.製品の一部にだけ溶射を行うことは可能ですか?
ブラスト処理や塗装と同様に、溶射もマスキング処理を行うことができますので
ご希望の箇所だけを溶射することができます。
11.価格・納期はどれくらいかかりますか?
加工面積だけでなく加工物の形状や重さ、マスキング箇所の数などの条件によって
作業工程が大きく変わりますので、価格・納期を一律にお答えすることができません。
FAX・お電話もしくはお問い合わせフォームから図面と加工条件をお知らせ頂ければ
個別にお見積りをさせて頂きます。